2020.6

写 経

日本で最も古くに写経が行われたのは、今から約1300年前だと言われています。当時の写経の目的は、経典を複製し仏教を広めることにありました。

現代で写経を行う場合、祈願、供養、修行、仏教への関心などそれぞれの理由があると思います。仏教とは関係なく単に書きたいから書くという人もいるでしょう。

ただ、写経では動機以上に書いている時間そのものが大事ではないかと思います。

筆を持ち、集中して漢字を書き連ねていく。この時間は、完全ではないにしろ、自分の心を日常の出来事から離してくれるのではないでしょうか。

日々の生活の中では周りに神経を使う場面が少なくありません。ですが、そのことだけに心を向けていては気疲れが増えるばかりです。

それとは別の、自分の書く字に集中するという神経の使い方は、日常を一時でも忘れられるかもしれないという意味で、気持ちの切り替えに繋がるのではないかと思います。