2020.3

三密加持(さんみつかじ)

真言宗の僧侶が仏の前でお経や真言をとなえるのは、多くは仏の力をお借りするためですが、単に仏を称え敬うため、あるいは仏との一体感を得るためという場合もあります。

仏と一体となることは真言密教が目指している境地ですが、密教ではこれを「入我我入【にゅうががにゅう】」と呼んでいます。仏が我の中に入るとともに、我が仏の中に入るという意味です。

ではどのようにして自分の中に仏を感じるのか。真言密教には仏を表す印相や真言、そして仏のイメージの仕方が伝わっています。手に印相を結び、口に真言を唱え、心に仏を思い描くことで自分と仏を重ね合わせようとします。

体(印相)、口(真言)、心(イメージ)の三つを仏と結びつけることを「三密加持【さんみつかじ】」といいます。三密とは仏の体・口・心の状態であり、加持とは仏の力を我々が受け取り、我々の信心を仏に向けることです。

高野山で行われている修業は、主にこの三密加持を学ぶ内容となっています。