鬼
お盆の時期になりますと、各寺院にて施餓鬼(せがき)法要が催されます。これは、先祖だけでなく餓鬼も含めたあらゆる霊に対して食べ物を捧げるという趣旨の法要です。
餓鬼とは仏教の説く六つの世界の一つ,餓鬼道(がきどう)にいる亡者です。そこでは、生前に犯した罪によって餓鬼道に落ちた者が常に飢えに苦しんでいます。餓鬼と呼んではいますが、最初から鬼だったわけではありません。
一方、鬼には「死者のたましい」という意味もあります。たましいを指す「魂魄(こんぱく)」なる言葉にはどちらにも鬼という漢字が使われていますし、「鬼籍に入る」との言い回しも、鬼が亡者であることを表しています。
お盆にはご先祖さま以外に、餓鬼のような有縁無縁の霊も集うと言われています。お墓やお仏壇の前で手を合わせるとき、餓鬼たちにも心を向けてみてはどうでしょうか。