2021.4

灯 明

灯明(とうみょう)とは、神仏やご先祖の前でお供えとして灯す明かりのことです。蝋燭が主に用いられていますが、油で灯すものや電気を使うものもあります。

仏教では光が様々な場面で出てきます。例えば、供養でも祈禱でも唱えることができ利益も優れているとされる光明真言(不空大灌頂光真言)は、五つの仏に光を放つようお願いする真言です。また、大日如来や阿弥陀如来はその光であらゆるものを照らすと言われています。

お釈迦さまは、苦しみの根本的な原因は無明(むみょう)にあると言われました。無明とはものの道理がわからず暗闇で彷徨うことです。暗い中で自分の進む方向を定めるには光が必要です。光は智慧(ちえ)の象徴ともされています。

他にも「自らを灯明とし法(教え)を灯明とせよ」との言葉も残されました。自分と法を頼りにし、他のものを拠り所としないという姿勢を説かれています。

お仏壇の蝋燭というと線香を点けるための火種と思われるかもしれませんが、その明かりには智慧、拠り所といった意味があります。